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君は初めて楽器を買った日を覚えているか

1988年、ジュンスカイウォーカーズがメジャーデビュー。

世は空前のバンドブーム。猫も杓子もバンドバンド。

その頃ヤマト少年の部屋は当時人気絶頂のアイドル、

ミポリンこと中山美穂のポスターで埋め尽くされていたのだった。

そうだ。思春期である。

ある日のこと、姉がジュンスカイウォーカーズのCDを

嬉しそうにアメリカ村のレコード屋で買ってきて

「このCD今、なかなか手に入らへんねんで」って自慢してきたのだ。

全く興味のなかった僕は、ロックなんてウルサイだけ。ミポリンこそ聞くに値する!

と性を拗らせて執拗に拒否した。そうだ。思春期である。

しかし毎日隣の部屋から聞こえて来る刺激的な音楽が

いつの間にか頭から離れない。

気がつけば「鍵は誰が~」と口づさんでいた僕がいた。

~「なあ、俺にもそのCD聞かせて」敗北宣言である。

姉は嬉しそうにそのCDを貸してくれたのだった。

そこからはもう夢中になった。

毎月購読する雑誌が「明星」から「バンドやろうぜ」に変わり

Tシャツにスキニージーンズ。あっという間に影響されまくった。

必然的にバンド組もうぜ!と友達とも盛り上がる。

当時もうギターを始めている友達がいたので、僕はドラム担当だった。

まずは近所の楽器屋でスティックと「ドラム入門」という本を買ってきた

中学生だったそのころ、近くに貸しスタジオがあるのかもわからず

雑誌を叩く毎日を過ごしたのだった。

だけど結局中学生の口約束ていどだったバンドは一度もスタジオに入ることはなかった。。

それでも毎日、次から次に新しいバンドがテレビを賑わした。

とはいっても当時のバンドは人気音楽番組に出るのはダサいという風潮があったので

夜中にやってるような音楽番組ばかりで、

僕はそれを夢中でビデオに録画して視聴したものだった。

そんな時、ある感情がヤマト少年を襲う。

「作曲がしてみたい!」

そうなるとドラムじゃなくてギターが引けないと駄目だ!と思いたち

姉が持っていたどこのメーカーかも分からないギターを借りて練習した。

好きこそものの上手なれ、それまで縦笛もろくに吹けなかったヤマト少年が

すごいスピードで上達していく。

高校に入ればバイト代をためて自分のギターが欲しい。

そう思うまでにギターへの憧れは高まっていったのだった。

そして「バンドやろうぜ」の楽器屋の広告を毎日ニヤニヤと眺めて過ごしていたのだった。

1989年初夏、ヤマト少年はバイトで稼いだ8万円を握りしめ

心斎橋のイシバシ楽器へ向かった。

もちろん狙ってるギターはジュンスカのギタリストが引いているレスポールモデル。

だけども悲しいことに、

店頭には8万を少し超えるレスポールしか置いてなかった、、、

楽器屋のお兄ちゃんに恐る恐る値段交渉をこころみた。

すると意外に以外、あっさりと7万円台まで値引きしてくれるとのこと。

あの時のお兄さんありがとう!

僕はそのレスポールを抱きかかえて帰宅するなり

アンプに繋いで弾きまくった。

真っ白なボディにゴールドパーツ。

美しいギターに見とれながら寝床につくも、うれしくて何度もギターをさわる。

あのときの感動は今も覚えている。

なんにでも純真だったあの頃、

もう一度取り戻したい感情を想いながら

僕は今日もギターをかき鳴らす。

そうそう、その頃にはミポリンのポスターは全部はがされて

ジュンスカのポスターに埋め尽くされていた。

少年は青年へと成長したのだった。


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